2016年2月号 『花粉症は早めの対応が重要です』

花粉症ってどんな病気なの?

今や国民のおよそ25%が花粉症であるといわれています。
スギなどの花粉が鼻に入ると、直後にくしゃみ、鼻汁が生じ、少し遅れて鼻づまりが起きます。
花粉が目に入ると、目がかゆくなり、涙が流れ、目が充血します。
頭痛、鼻や喉の炎症反応による微熱、だるさなどの症状に悩まされることがあります。

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スギ花粉症はどうして多いの??

花粉症の約70%はスギ花粉症だと推察され、これは国土に占めるスギ林が大きいためです。
北海道にはスギ花粉飛散は少なく、沖縄にはスギが全くありません。
関東・東海地方では、スギ花粉症の患者さんが多くみられます。
ヒノキ科花粉による花粉症もありますが、スギの人工林がより多いのでスギ花粉が多く飛散するからです。

花粉はいつごろから飛び始めるの?

スギの雄花では花粉が7月の初めごろから作られます。
この頃に日照りが続き、雨が少ないと、雄花がたくさんできます。
花粉が完成するのは10月中旬で、年を越して暖かくなり始めると、雄花は開花して花粉が一斉に飛び始めます。
世界的な温暖化の影響により花粉飛散数は増加するかもしれません。

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どのようにしてアレルギーが起きるの?

鼻は空気を加温・加湿・防塵する働きがあります。
鼻の粘膜には線毛があり、花粉が鼻孔から入ると表面の粘液に花粉をくっつけ、鼻の粘膜にある線毛の働きにより鼻の奥へ運び出されます。
残った花粉がアレルギーの原因となって“花粉は異物だぞ!”という信号が細胞へ送られ、アレルギー症状が起こるのです。

対症療法

花粉症の治療法は対症療法根治療法の2つに分類されます。
対症療法としては、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の内服薬や点鼻薬、点眼薬、そして局所ステロイド薬の点鼻薬、点眼薬が組み合わせられます。
これらの薬剤を上手に使い分ければ、花粉が多い年でも約5~6割の患者さんが大きな副作用もなく、花粉症の症状がほとんど出現せずに、花粉飛散の季節を過ごせます。
また、花粉が飛び始めから治療を開始する「初期療法」が有効であることが証明されています。

根治療法

原因花粉を完璧に避けることや、完全に花粉を除去することは不可能ですが、少しでも体に花粉が入らないようにする工夫が、症状の悪化や生活の質を保つために重要です。
症状の重い人には減感作療法が適応となります。
ただし、根治療法である減感作療法(注射や舌下)は、どこの医療施設でもできるわけではなく、大学病院や地方の基幹病院、アレルギー科、耳鼻咽喉科診療所などで行われています。

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セルフケア

鼻と目に花粉が付着しないようにすることが大切です。
通常のメガネだけでも、メガネをしていないときの目に入る量の半分以下になります。
マスクの着用も有用で、通常のマスクに湿ったガーゼを挟み込むだけでも効果があります。
洋服については、羊毛類の衣類は花粉が付着しやすく、屋内などに持ち込みやすいので、気をつけましょう。
また外出から家に帰ったら、顔全体を洗って花粉を落とすようにしましょう。

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早い時期から対応をして、花粉の季節を上手に乗り切りましょう。