2018年3月号『帯状疱疹について』

●帯状疱疹とは
帯状疱疹は、身体の中に潜んでいたヘルペスウイルスの一種である水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。身体の左右どちらか一方に、ピリピリとさすような痛みと、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状に現れる病気です。胸から背中にかけて発症することが多く、半数以上が上半身に発症します。顔面、特に目の周りもよく発症します。

●水疱瘡と帯状疱疹の関係
はじめて水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したときは、水疱瘡として発症します。水疱瘡が治ったあとも、ウイルスは体内の神経節に潜伏します。加齢やストレス・過労などで免疫力が低下すると、潜伏していたウイルスが神経を伝わって皮膚に到達し、帯状疱疹として発症します。水疱瘡にかかったことのある人なら、だれでも帯状疱疹になる可能性があります。通常は生涯に一度しか発症せず、免疫が低下している患者さんを除くと再発はまれです。
水疱瘡は他の人に水疱瘡としてうつりますが、水疱瘡が帯状疱疹としてうつることはありません。また帯状疱疹は他の人に帯状疱疹としてうつることはありませんが、帯状疱疹の患者さんから水疱瘡にかかったことのない乳幼児などに水疱瘡としてうつる場合はあります。

●治療とお薬
治療は、ウイルスの増殖を抑える抗ヘルペスウイルス薬を中心に行われます。
今までの帯状疱疹の治療薬というと、アシクロビル(ゾビラックス®)、バラシクロビル(バルトレックス®)、ファムシクロビル(ファムビル®)がありましたが、2017年9月に新しい治療薬アメナメビル(アメナリーフ®)が発売されました。

アメナメビルは、これまでの治療薬と作用機序が異なりますが、大きな特徴としては、糞中に排泄されるため、腎機能低下による投与量の調節が必要ありません。帯状疱疹は、体力・免疫力が落ちた高齢者が罹患することが多いため、腎臓をとおって尿中に排泄される薬の場合、投与量を減量するなど注意が必要でした。しかしながら、アメナメビルはそういった調節が必要ないので、使いやすい薬となっています。

また、1日1回の投与で帯状疱疹に効果を発揮する点も特徴と言えます。他の帯状疱疹の治療薬は、1日3~5回の服用で効果を発揮するタイプのものでしたので、患者さんにとってみれば簡単で飲み忘れも少なくすることができそうです。

いずれの治療薬も効果が現れるまでに二日程度かかりますので、すぐに効果があらわれないからと言って、服用量を増やしたり、途中でやめたりしないようにしましょう!できるだけ早く服用を開始するほど、治療効果が期待できますので、症状に気づいたらすぐに病院を受診しましょう。