●保湿剤とは
健康な皮膚には角層のバリア機能があり、水分の蒸発や外からの刺激を防いでいます。しかし、皮脂、天然保湿因子、角質細胞間脂質といった物質が不足して皮膚が乾燥した状態(ドライスキン)になると、角層がはがれてすき間ができ、外からの刺激を受けやすくなります。
保湿剤は、皮膚の水分が逃げないように“ふた”をしたり(エモリエント効果)、皮膚に水分を与えたりする(モイスチャー効果)役割を持っています。

●保湿剤の種類
代表的な医療用医薬品の保湿剤には、ヘパリン類似物質含有製剤、尿素製剤、ワセリンがあります。

①ヘパリン類似物質含有製剤(ヒルドイド)
吸湿して角層に水分を付与する作用(モイスチャー効果)があり、持続的な保湿効果があることが特徴です。刺激が少ないため、赤ちゃんから大人まで、顔も含めて全身に使うことができます。ただし、血液凝固抑制作用をもつヘパリンと似た作用を持つため、出血性疾患のある人には使えません。

②尿素製剤(パスタロン)
ヘパリン類似物質と同様に、吸湿して角層に水分を付与します(モイスチャー効果)。また、角質を柔らかくする作用があるため、皮膚表面が滑らかになり皮膚の厚い手足に効果的です。ただし、ひびやあかぎれがある場所に塗布すると刺激を感じることもあります。

③ワセリン(プロペト)
角層に水分を付与する作用はなく、油分が被膜となって皮膚を覆うことで、皮膚の水分蒸散を防ぎます(エモリエント効果)。被覆性が高いことが特徴ですが、べたつくことがあります。刺激はもっとも少ないです。

●保湿剤の剤型
夏はさっぱりとした使用感の良いもの、冬は皮膚を覆う効果に優れたものが良いでしょう。

●塗り方のポイント
一般的に、保湿剤を塗ったあとの皮膚にティッシュをかぶせたとき、そのティッシュがさらりと落ちずにひっかかる程度の量を塗る必要があると言われています。量の目安は、軟膏やクリームは、人差し指の先端から1つ目の関節まで伸ばした量、ローションタイプの場合は、1円玉大の量が約0.5gです。この量で、およそ手のひら2枚分の面積に塗れます。

●最後に
近年、ヒルドイドを美容目的で使う人が多いことが問題となっており、販売元の会社から適正使用についての注意喚起がされています。ヒルドイドは化粧品ではなく、医薬品です。医師が、患者さん一人ひとりの皮膚の状態を診察した結果を踏まえ、必要に応じて処方されているヒルドイドについて、患者さんが自己判断で治療以外 の目的で使用することは、適切な効果が見込めないだけでなく、思わぬ副作用が発現するリスクがあります。適正な使用を心がけましょう。