2013年7月号 『ひろがってます、便秘治療』の折込広告について

最近の新聞の折込広告で

『毎日、悩んでいた。でも、誰にも言えなかった。なかなか他人には言えない便秘の悩み。
でも、もうひとりで抱えることはありません。慢性的な便秘は、医療機関で治療できます。
GO 便秘治療』と便秘は医療機関へご相談下さいとの新聞の折込広告が今年の6月23日に入っていました。

もうすでに医療機関で便秘治療は行われていたのに・・・

この折込広告で、もうすでに便秘の治療を医療機関で受けている方や、便秘の治療を受けた経験のある方は、「何を意図としているのだろう?」と思われるかもしれません。

折込広告の意図は

従来の便秘治療薬と薬の効きかた(作用機序)が違う、新薬の便秘治療薬がある事を知ってもらおうとした意図が隠れています。
では、ここで順を追って便秘の話からいたします。

便秘について

便秘は大きく分けて、腸の周りの筋肉が緩み、腸の動きが弱くなって、便の押し出しが悪くなった状態の「弛緩性便秘」と、自律神経の乱れなどにより、腸管自体の収縮が強くなって便が出にくくなった状態の「痙攣性便秘」の2つのタイプがあります。 いずれにしても、「たかが便秘」と放置していると、腸内で有害物質が発生し、肌荒れや頭痛、大腸がんをひきおこすとみられています。また肛門に負担がかかり、痔になりやすくなります。
便秘にならないためには、①規則正しく3食きちんと食事をする。②水分を充分とる。③こんにゃく・海藻・熟した果物などの水溶性食物繊維をとる、といった①~③に加え、歩行などの運動を多くするような生活改善を心がけることです。
それでも、便秘が改善しなければ便秘治療薬の出番になります。

新薬の便秘治療薬とは

折込広告での薬は、「アミティーザ」という名前の新便秘薬で、一昨年(2011年11月)に発売されました。
この「アミティーザ」は、従来の腸を直接刺激して排便を促すタイプの薬ではなく、腸での水分分泌を増やして便を柔らかくし排便を促す働きがあります。
つまり、折込広告の意図は「便秘は病気です。医療機関で便秘の治療を受けましょう。便秘治療薬はアミティーザを含めて、いろいろありますよ。」と便秘で悩んでいる方に啓発をしています。

誰に相談するの?

では、だれに相談すればよいのか?というと、かかりつけのお医者さん、病院の総合診療科、そして静岡県では数少ないですが便秘外来で相談すると良いでしょう。

まとめ

なかなか、人に言いづらい「便秘」。でも、放置しておけない病気なのです。便秘でお悩みの方は、お医者さんに相談しましょう。
そして、薬の治療が始まったら、どんな薬でも「副作用」や「注意しければばらない服用方法」があります。
薬のリスクを知った上での服用はQOL(生活の質)向上をしますので、便秘でお悩みの方は一度受診してみてはいかがでしょう。

【文責 望月裕夫】

参考文献
・アミティーザカプセル添付文書・インタビューフォーム・患者用配布資料等  アボットジャパン株式会社
・「今日の治療薬2011 解説と便覧」 南江堂
・「アミティーザ:腸液分泌を促進する慢性便秘症治療薬」  日経メディカルオンライン 2012.7.19
・「便秘・下痢のときの食事」MSD株式会社  2011年3月作成