2011年1月号 『胃にやさしい食材 大根』

東海道薬局・管理栄養士のおすすめ大根料理

大根の旬は冬です。古代エジプト時代にも記録が残っているほど古くから食べられてきた野菜です。根には分解酵素のアミラーゼを豊富に含み、消化を促進して、胸やけや胃酸過多、胃もたれ、二日酔いなどに効果があります。またビタミンCも多く、皮のほうにより豊富に含まれています。皮には毛細血管を強くするというビタミンPが含まれ、脳卒中の予防に効果が期待できます。葉の部分には緑黄色野菜の仲間で、カロチン・ビタミンC・カルシウムなどが豊富に含まれています。葉を毎日食べることで、ニキビや吹き出物を治し、みずみずしい肌にする作用があります。

ひじきと大根の和風ドレッシングサラダ

【管理栄養士のワンポイントアドバイス】
ひじきはカルシウムと鉄分が豊富な海藻で、カルシウム吸収を助けるマンガンも含有しているため、骨の強化に有効な食材です。干ししいたけのビタミンDがカルシウムの吸収をさらに高めます。ツナ缶のたんぱく質と一緒に食べ合わせると、ひじきの食物センイが腸内でビタミンB群の合成を促進する働きがより一層高まります。

・材料(二人分)
ひじき(乾物)10g
ツナ缶    1缶
人参     40g(1/4本)
干ししいたけ 2枚
しらたき    40g
A  干ししいたけの戻し汁 1カップ
   しょうゆ       小さじ1
和風ドレッシング  大さじ2

・作り方
① ひじきは水で戻し、食べやすい長さに切り、和風ドレッシングに漬ける。
② 人参はさっとゆで、細切りにする。
③ 干ししいたけは水で戻し、軸と石づきを取り、細切りにする。軸も細切りにする。
④ しらたきは食べやすい長さに切り、③と一緒にAで煮汁がなくなるまで煮る。
⑤ ①に人参、干ししいたけ、しらたき、ほぐしたツナ缶を加え、混ぜ合わせる。

タラと根菜の酒かす汁

【管理栄養士のワンポイントアドバイス】
タラは良質なたんぱく質とカルシウムを含んでいる脂質の少ない白身魚です。野菜に含まれる水溶性と不溶性の食物繊維が糖質やコレステロールの吸収を遅らせ、こんにゃくのグルコマンナンが腸のぜん動運動を活発にするため、余分な脂肪や塩分が体外に排出され、肥満予防に働きます。糖尿病や脂質異常などの生活習慣病の予防にも有効です。

・材料(二人分)
たら     40g
大根    100g
人参     50g
ごぼう    50g
里芋    1個(60g)
こんにゃく  50g
長ネギ   25g
だし汁   2カップ
酒かす   20g
味噌    小さじ1
塩      少々

・作り方
①タラは一口大に切る。
②大根は乱切りにする。
③人参は皮をこそげ、乱切りにする。
④ごぼうは皮をこそげ、小さ目の乱切りにし、水に放す。
⑤里芋は皮をむき、5mm幅の輪切りにする。
⑥こんにゃくは小さ目に手でちぎる。
⑦長ねぎは5mm幅の輪切りにする。
⑧鍋に、大根、人参、ごぼう、こんにゃく、さといも、だし汁を入れて火にかけ、煮立ったらアクを取り、弱火にして12~13分煮る。
⑨煮ている間に、だし汁で酒かすと味噌を溶く。
⑩⑧に長ねぎを入れ、⑨をみそこしで濾しながら入れ、塩で味を調える。

大根のにら炒め

【管理栄養士のワンポイントアドバイス】
加熱した大根は胃腸を温め消化吸収を高める働きがあります。同様の働きを持つにらと、体を温め胃液の分泌を促すねぎの働きが一緒になり、内臓全体の機能が整えられる一品です。カロテンを含有しないもやしは、にらと組み合わせると足りない栄養素が補われ、栄養価がアップします。

・材料(二人分)
大根     10cm
にら     1/2束
もやし    1/2袋
ベーコン   3枚
ねぎ     1/2本
キムチ    適量
塩、しょうゆ 適量
サラダ油   大さじ1

・作り方
① 大根はよく洗い、5cm長さの拍子切りにする。
② にらは5cm長さに切る。
③ もやしはよく洗い、水気をきっておく。
④ ベーコンは1cm幅に切る。
⑤ ねぎとキムチは粗いみじん切りにする。
⑥ フライパンに油を入れて熱し、ねぎを入れて炒め、香りを出す。
⑦ ⑥に大根、もやし、ベーコンを入れて炒める。
⑧ 大根が透き通ってきたら、塩としょうゆで味を整え、にらとキムチを入れてさっと炒め、できあがり。

ブリと大根の柱煮

【管理栄養士のワンポイントアドバイス】
ブリのDHAが脳の働きを高め、EPAが血液の流れをスムーズにします。人参、しいたけ、油揚げなど抗酸化力の高い食材を使い、胃腸を温める栄養バランスの優れた煮物です。ブリは血合い部分に吸収のよい鉄分が豊富に含まれています。

・材料(二~三人分)
ぶり(切り身) 2切れ
大根      300g
人参      100g
ごぼう(中)   1本
干ししいたけ  3枚
油揚げ     1枚
干ししいたけ戻し汁 3カップ
A しょうゆ   大さじ2
  砂糖    大さじ1

・作り方
① ブリは1切れを4等分にする。
② 大根、人参は皮をむき、1cm角で4cm長さの棒状に切る。
③ ごぼうは皮をこそげ、4cm長さに切り、水に放す。
④ 干ししいたけはたっぷりの水で戻し、石づきを切り落とし、3~4等分に切る。
⑤ 油揚げは熱湯を回しかけて油抜きし、1cm幅×長さ4cmに切る。
⑥ 鍋に油を熱し、ごぼうを炒め、人参、大根、油揚げ、しいたけの順に入れて炒める。
⑦ ⑥にブリとだし汁を入れ、沸騰したら弱火にし、ふたをして煮る。
⑧ 野菜がやわらかくなったら、Aを加え、弱火で煮汁が少なくなるまで煮る。

キスと大根の煮物

【管理栄養士のワンポイントアドバイス】
キスと人参を一緒に煮ると、キスの脂質が人参のカロテン吸収を高めるので、目に栄養がわたり皮膚や粘膜が強化されます。人参と大根には食物センイが豊富に含まれており、腸の働きを整え、血中コレステロールを取り除く働きがあるので、便秘や高血圧予防にも効果が期待できます。

・材料(二人分)
キス(三枚おろし) 4尾
大根        5cm(250g)
人参        5cm
だし汁       適量
油         大さじ1
A 砂糖、しょうゆ 各大さじ1
みりん        小さじ2

・作り方
① キスは半分に切り、両面をこんがり焼く。
② 大根は拍子切りにする。
③ 人参は細めの拍子切りにする。
④ 鍋に油を熱し、大根と人参を炒める。
⑤ ④にヒタヒタのだし汁と①を入れ、アクを取り、Aを加えて弱火で煮る。
⑥ 大根と人参がやわらかくなったら火を止め、器に盛る。