2020年5月号 ポリファーマシーについて 

現在、日本では急速な高齢化が進んでいます。

複数の疾患を抱え、様々な診療科を同時に受診する高齢者が多く、服用している薬も足し算的に多くなってしまいます。ある調査によると、65歳以上では複数の医療機関に受診されている方が52%、処方されている薬剤数が5種類以上の方は25%と報告されています。さらに、服用する薬剤の種類や量に比例して副作用のリスクが高まることがわかり、「ポリファーマシー」という問題が取りざたされ、「減薬」の必要性が認識されるようになっています。

ポリファーマシーとは?

ポリファーマシー(poly(複数)+pharmacy(調剤))とは多剤と訳せますが、単に服用する薬剤数が多いことではありません。必要以上の薬剤が投与されている、または不必要な薬剤が処方されていることであらゆる問題点、つまり、多剤服用の中でも害をなすものと考えられています。

ポリファーマシーの問題点

ポリファーマシーの問題点は、以下の内容が挙げられます。

・アドヒアランス(患者さん自身が自分の病気を受け入れて、医師の指示に従って積極的に薬を用いた治療を受けること)の低下

・薬剤費の増大に伴う医療費の高騰

・薬物有害事象(薬物との因果関係がはっきりしないものを含め、薬物を投与された患者に生じたあらゆる好ましくない、あるいは意図しない徴候、症状、または病気、副作用など)の発現頻度の増加

・残薬の増加

残薬問題

最近、高齢者の自宅からお薬が大量に見つかる事例が多く報告されており、多種類を処方された場合などに適切に服用できず、症状の悪化でさらに薬が増えるという悪循環に陥ってしまっているなどの報道も取り上げられています。ある調査によると、薬剤師がケアを続ける在宅患者のうち、4割以上にお薬の飲み残しや飲み忘れがあり、1人あたり1ヶ月で3220円分のお薬が服用されていなかったとしています。これは処方されたお薬全体の24%にあたり、残薬の年総額は475億円にまでのぼると言われています。

ポリファーマシーを解決するために、薬剤師からのお願いです!!

・お薬手帳をご持参ください!
他の医療機関で処方された薬を確認出来るので、重複投与や薬物相互作用を未然に防ぐことができます。また、お手帳を持参した場合、お値段が少しお安くなります。

 

・かかりつけ薬局を持ちましょう!
かかりつけ薬剤師による一元管理が求められていますが、いまだに複数の薬局を利用する患者様も少なくありません。同じ薬局ですべての薬を管理してもらうことで、不必要な薬を減らすことができます。国からも一元管理の大切さが求められており、この4月からは、同じ薬局に複数医療機関の処方箋を同時に持って行った場合、お値段が少しお安くなるよう改定が行われています。

 

・お薬困っていることはありませんか?是非相談を!
当薬局では、お薬がたくさん余っていて困っていないか、お薬の飲み方で困っていることはないか、お薬を減らしたい希望があるかについても伺っております。
残薬がたくさんある場合は、処方日数の調整ができます!

飲み方に困っている場合、は飲み方に合わせた処方提案を医師に相談することができます。

減薬希望がある場合、薬剤師が医師と相談してお薬を減らすお手伝いができます。

もし、お薬のことで困っていることがあれば、この機会に是非相談してください!