2022年7月号 夏の虫刺され対策
2022年7月号 夏の虫刺され対策
夏はキャンプや山登り、川遊びなどアウトドアが楽しい季節。しかし、楽しみと背中合わせに、
多くの危険も潜んでいます。その一つが虫刺されで、痛みや痒みなどの不快な思いをするだけでなく、命に関わる場合もあります。虫に刺された時には、症状を見極め、適切な対処方法をこころがけましょう。
虫刺されのメカニズム
虫刺され(虫刺症)とは、虫が血を吸ったり、刺したり、咬んだりすることによって起こる皮膚炎の総称です。
虫の持つ毒成分や唾液成分などの異物が皮膚の中に侵入することで刺激反応やアレルギー反応が起こります。
虫刺されの症状
主な症状は、腫れ、痒み、痛み、赤み、水膨れです。これらの症状が狭い範囲に見られる程度であれば、
軽度の虫刺されと言えますが、刺された箇所だけでなく血圧低下、呼吸困難、意識喪失といった全身に及ぶ症状が出ることもあります。
夏の虫刺され対策①「蚊」
蚊に刺されないためには、虫除けスプレーを使いましょう。
吹き付けた後にムラがないよう手で伸ばすと更に効果的です。
蚊は、汗のにおいや体温を察知して近づくと言われています。
こまめに汗をふき、制汗スプレーやデオドラントシートで体温を下げることも効果があります。
蚊に刺された時は、掻かないことが大切です。
掻くことにより傷口より細菌が入り、伝染性膿痂疹（とびひ）になることもあります。
保冷剤などで冷やすと痒みが和らぎます。
市販のステロイド外用剤（塗り薬）を使うことも効果的です。
夏の虫刺され対策②「蜂」
蜂は、黒い色や甘いものに寄ってくる性質があり、匂いのするものを攻撃する性質があります。
黒い服は避けて、野外では甘いものを飲むのは控え、香水や整髪料をつけないようにしましょう。
虫除けスプレーは、蜂には効果がありません。
蜂に刺された時は、蜂の針を毛抜きなどでそっと抜き、毒液を絞り出すように患部を流水で洗い流し、
保冷剤などで冷やして安静にしましょう。
蜂に刺されるのが２回目以降の場合は、呼吸困難、意識消失など強いアレルギー反応が現れることがあります。
すぐに医療機関を受診してください。
夏の虫刺され対策③「マダニ」
マダニは、自然の豊かな場所で、地上1ｍ位の植物の葉陰で待ち伏せして、野生動物や人に付着して吸血します。
そのため、マダニのいそうなところに行く際は、長袖・長ズボンを着用し、帽子や手袋なども利用して
肌の露出を避けましょう。虫除けスプレーは、マダニに効果があると記載されているものもありますが、
過信せず補助的なものとして利用するのがいいでしょう。マダニに咬まれた時は、むやみに自分で取らず、
皮膚科や外科で除去してもらいましょう。ウイルスを持っているマダニに咬まれるとSFTSという感染症を
引き起こし、命を落とすこともあります。咬まれてから1～2週間後に、発熱、腹痛、下痢などの症状が出た時は内科を受診して、マダニに咬まれたことを伝えてください。
